冬のおとぎ話。

今年の一冊目はこの本にしようと決めていました。

「冬」に関するエッセイ本。
あいうえお順で、又吉さんに穂村さん、町田さん、名久井さんなどなど
いろんなジャンルの方々が「冬の本」というテーマで
一人見開き2頁、84人分載っています。
この本が出るのを知らなかったのですが、みよしさんに教えていただきました。感謝。



それにしても、久しぶりにハードカバーの本を買いました。
我が家にあるのは、ほとんどソフトカバーの本。
理由は読みやすいから。あと、そんな形の本が好きだから。
久しぶりに手にしたハードカバーは、なんだか懐かしい感じがしました。
固い表紙を持ちながら頁をめくる感じ。1頁づつ丁寧にめくる感じ。
無性に愛おしくて、本屋さんでつけてもらったカバーも外し表紙を撫でてしまいました。
表紙を叩くと音がする。これです。
そうだ、何が無性に懐かしいって、この本にはカバーがないのです。
本の表紙が本当に表紙。それがまたいい。
大きさも少し小さめの手に馴染むサイズ。
装丁は、わたしの中では三谷さんでおなじみの和田誠さんです。
和田さんの絵って温もりがある気がして、この本にぴったりでした。


ぱっと開いた頁を読むのも良し、好きな人の頁を探して読むのも良し、
いろんな人の冬の感じ方を味わうことができます。


わたしは冬が好きです。逆に言えば夏が苦手。
寒すぎて目から涙が出る朝、ほんわり暖かい昼、澄み渡った夜空。
こんなこと言えるのは東京に住んでいるからこその贅沢かもしれません。
ほんとにトンネルを抜けると、そこが雪国だった時に思い出したのは勿論あの一節。
わたしにとって「冬の本」のひとつになるのでしょうか。
でも、この本に出てくる冬の本は決して冬に関する本だけではありません。
そんな面白さも含めて、いろんな人の人生を垣間見ながら
その中で生まれた言葉のリズムを味わいつつ読みたい本です。





あっリズムで思い出した言葉を。
以前ブランチでサカナクションの山口さんが話していた吉本隆明さんの言葉。

言葉のリズムは意味を上回る。
リズムが素晴らしければ、意味なんて後から付いてくるんだ。

妙に納得した土曜の朝でした。温かい一週間を。