化け物はん。

『東京百景』のイベント素晴らしかったです。
http://yoshimotonews.laff.jp/news/2013/08/post-c173.html
感想だけ。
「血まみれになって笑かしてくれる人」
「文才って、本当にあるんやなって思った」
「又吉さんの網膜を通して見ると、こんな景色なんだ」
「又吉さんの文章を読むと、全て浄化されてリセットされる」
「文章の可能性を感じられた」
「逆死神」
と西さんが話していて、それが全く嘘っぽくなく愛情のある本気だったので、
見ていて聴いていて、惚れ惚れしました。
これを読んで、その場所に行ってみたら違う景色に見えたとも話していて、
そんな風に読めるというのは素敵だなと思いました。



●息を吹き込む。
又吉さんの文章には人じゃないものを擬人化しているところもあって、
そういうのは愛情がないと書けないことで、気持ちが伝わってきて優しいんだけど、
違うところでは凶器をはらんでいるとも話していて、
ものすごい愛情で読んでいるのが伝わってきて、いいなぁと温かい気持ちになりました。


普段は何も感じなかったはずの…今回で言えば東京のとある場所というものに、
又吉さんの文章によって命が吹き込まれたということでの
「逆死神」
又吉さんはこのフレーズに全く納得がいってないようでしたが、
西さんは会心の出来という感じで、嬉々として何度もこのフレーズを口にしている姿が見ていて微笑ましかったです。
欲を言うと、西さんが読んで付箋つけていたとこのお話も聞いてみたかった…
顔もちっさくて可愛らしくて、おしゃれで、
そして、やっぱり美しい人でした。
綺麗とかカワイイじゃなくて「うつくしい」という言葉がハマる人でした。
あんなに必死に聴いていたのに、内容が思い出せないくらい眩しかったです。


●うつくしい光景。
西さんが、夕暮れ時に花屋さんの前を歩いていたあばぁちゃんが
あまりにも自然に店の前の花を一輪隠すことなく持って行った光景が美しすぎて感動した
という話を聞いていて、最初は感動というのが分からなかったのですが…
盗むとかそういうことではなく、その花がおばあちゃんにとってあまりにも美しかったから
自然の成り行きとして、取ったという光景に見えているということが聞いていて分かって、
西さんのその網膜も、欲しいと思ってしまいました。


●テレビ的じゃない。
西さんが、テレビで見る又吉さんに違和感があるみたいな話もしてて、何か笑ってしまいました。
又吉さんが、なぜかある時窓から出入りするようになった
という話がとてつもなく面白かったんですが、
又吉さんは経験も積んできて、テレビではできる話とできない話があって
これはできない話に入るみたいなことを言っていたので、
ぜひお時間が合う時があれば、迷わずに劇場へ…と思いました。


●性別。
西さんが、小説を書くときに男性が登場する場合は
どういう風に考えて書いているのかと聞かれていて答えていました。
今36歳だけど16歳くらいの時から、感じる痛みとかは全く変わっていない。
男女の差って体型だけで、魂は同じだと思ってる。
だから、男性だろうが80歳だろうが同じように書くことができる。



●東京。
「東京」という街は、ただそこにあるのだけなのに、
勝手に嫌われたりしてるけど、それでもただそこにある
懐が深いなという話もしていて、なるほどと思いました。
「東京百景」という響きが切ないというのは、すごく分かる気がします。
くるりの『東京』についても話していて、
東京に生まれた人はどう思うのかと思って後輩に聞いてみたら
「上京していなくても、いい曲だというのは分かります。」みたいなことを言っていたらしく、
曲そのものにパワーがあるんじゃないかというような話をしていました。



●繋がっていく。
又吉さんが、今お仕事で自分が本を薦めて、それを誰かが読んでくれて
それでまた面白い作家さんが出てきてくれたら嬉しいみたいな話をしていて
自分を通過点にしてもらって構わないから、本の魅力を伝えたくて、
そこからまた新しい芽が生まれることを望んでいるんだということを感じて、
なんかもう言葉にできないような気持ちになりました。
あと、自分の大切な人たちは、みんなにとっては同じようにそうじゃないけど、
そう思って欲しいと思うようなことが東京にもある…
いや違う…もっと痺れるようなこと言ってたのが、刺さりました。
覚えてないのかよって話ですが。
(273頁のオカンと若手芸人の下りのことが近いと思います…)


又吉さん西さん素晴らしい時間をありがとうございます。
こんな夜があるというだけで、東京は素晴らしいとまた思えました。
やっと『東京百景』を手にする日が来て嬉しい。大事に読みます。
そして「せきしろさんはなんと優しい人なんだろう!」と思いたいと思います。
東京がしんどくなったらこの本片手に東京に逃げよ。