ピンポンズとチャリンコ。

特別な時間でした。


又吉直樹主催
『実験の夜 Vol.27』


27回目にして、初めて又吉さん独りではなく向井さんと一緒に登場。
又吉さんから一緒に出ようと誘ったはずなのに、向井さんが出たがったようにしようとする。
今回はいつもと違ったライブなので、
向井さんにも一緒にゲストを迎えてもらおうと思ったそう。
そして、向井さんが復帰したというのも伝えたかったとのこと。


向井さんが声を出せない間は、iPhoneのアプリを使って会話していた。
しかし、又吉さんiPhoneもアプリという単語も出てこず。
翻訳アプリというものがあって、それに打ち込んで言葉を発するものの
全く温度のない声で再生されてしまう。
何とか声を出させようとする困った同居人の又吉・児玉ペアは
「そして〜羽ばたくー♪」と唄いだし、なんとか「ウルトラソウル!」と言わせようとするも
(しかもタクシーの中)
必死にスマホに「ウルトラソウル」を打ち込み、少し間が空いてからの
平坦な「ウルトラソウル」に運転手さんが反応してしまう。
一週間、声を出してはいけない中で唯一向井さん自ら声を出してしまった時があるらしく
それが自分でも惚れ惚れするぐらいかっこよかったそう。
又吉さん曰く「正義感の塊」


告知通りゲストは世田谷ピンポンズさん。
http://setapon.boy.jp/
まずは、三人で座ってトークとなりました。
向井さんは「世田谷ピンポンズ」という名前を聞いて、ひとりじゃないと思ったらしい。
「世田谷」という地名も特に関係ないそう。
ピンポンさんが、無限大の雰囲気に馴染めるか心配していると、
「僕のお客さんは陰気慣れしてるんで」と言い出す陰気を自覚する又吉さん。
「後輩も陰気な順にライブに出してる」とか。
又吉さんでも向井さんでもない方向を見つめるピンポンさんに
「誰か気にいらんやついましたか?」


又吉さんがピンポンさんを知ったきっかけは、下北のディスクユニオンで大きく置かれていて
今、若者の間でこの人が人気あるんやったら、いい世の中になったなと思ったそう。
その頃、ピンポンさんも又吉さんの事務所に自分のCDを送っていた。
まさかご本人に届くとは思わなかったというが、
そのことがきっかけで又吉さんからマガリ*1の対談のオファーを出したら、快諾してくれた。
しかし、ピンポンさんは、そのオファーが信じられず
これは詐欺じゃないかと疑い、マネジャーさんの名前をネットで調べたそう。
又吉さんにしてみれば「又吉に会える詐欺」なんてありませんよと笑っていました。


そこから、京都に住んでいるというピンポンさんと先日呑んだという話に。
その話題に登場したのは相方・綾部さん。
先日行われた『祇園ピース』の後、ピンポンさんに連絡して呑もうと思っていたのに、
そんなときに限っていつもはしない打ち上げを綾部さんがしようと言い出した。
作家の大塚くんと「どうする?」と話し合った結果、もちろん打ち上げに行くことに。
しかし、京都詳しいと自負する綾部さんに連れられ鴨川辺りのお店に行くものの、
路地に入って歩いていたと思ったら、結局元の場所へ戻ってしまったそう。
「ここじゃないか」という感じでフォローに回る又吉・大塚コンビ。
その後、無事に一件目のお店で食事を済ませた後、
綾部さん「気持ちよくなった」ということでもう一軒行こうと言い始める。
またもや大塚くんと「どうする?」会議を開く又吉さん。
結局、二軒目にも行き、深夜2時を過ぎたころ、
綾部さんを無理やりタクシーに押し込んだ又吉・大塚コンビは、
それからピンポンズさんに会いにいったそう。
又吉さんから連絡来たとき、何してたかピンポンさんに聞いてみると、
「携帯おいて、定食屋さんに行っていた。」
との答えに「想像通りですね」という向井さん。


その後たくさん唄って欲しいという又吉さんのリクエストもあり
全部で6曲歌ってくださいました。
無限大が入っているビルには「まんだらけ」にはよく来ていたけど、
まさかここでライブをするとは思っていなかったが、
思った以上に迎えてくれた客席に安心したようでした。
前半4曲。
『オレンジジュース』
『グッドバイ』
『紅い花』
『マイリトル東京


『オレンジジュース』に出てくる歌詞で、

アイスコーヒーの氷のほうが早く溶け出す

という歌詞に又吉さんはとても惹かれたそうで、
ピンポンさんもまた、そこに引っかかってくれる又吉さんの存在に喜んでいました。
『紅い花』は好きな作家である上林暁さんの本に影響を受けたそう。
ちなみにピンポンさんの待ち受けは上林暁


後半は、又吉さんが以前マガリーで書いた詞に
ピンポンさんが曲をつけて唄ってくれました。
『自転車を漕いだ秋』
『アナタが綴る世界』


詞を詰めすぎてしまったという又吉さんでしたが、それも良かったと話すピンポンさん。
自分が書いたと思って聞かないでくださいと又吉さんは話していましたが、
この曲もどうにかして形にしたいとピンポンさんが話してくれました。

6月は19日(木)に恒例の『太宰ナイト』のため『実験の夜』はお休み。
21:00開場/21:15開演(約二時間くらい。昨年は23時少し過ぎての終演でした。)
7月は18日(金)21:30開場/21:45開演(約一時間くらい)
チケットよしもと●http://yoshimoto.funity.jp/
無限大ホール●http://www.yoshimoto.co.jp/mugendai/
※立ち見は一番高いところにあるので少し見下ろす形になりますが、
見えにくいことはないと思います。
地べたに座ることも出来るので、座ろうと思えば座れます。


開演前もCD販売所が出来ていましたが、
終演後も販売とのことで、ロビーに出ると、凄い光景が広がっていました。
売り場手前、ひとり離れたところで威勢よく声を張り上げるすーなか。
CD売り場には、ピンポンさんスタッフさんに加え、
又吉さん、しずる村上さん、ジュージーズ児玉さん、向井さんの姿も。
なぜかすーなかとのミニハイタッチ会が始まる。
あまりのすーなかの賑わいに、向井さんから
「そこのダフ屋は気にしないでください〜」と。
その後、列に進むと村上さんが「どちらにしますか?」と気さくにお声掛けをしてくれて、ホッとする。
スタッフのお姉さんの笑顔に癒されながら、CDを購入。
誰も気づいていないと思いますが、お札を出す手が震える始末。
そして、再びのすーなかにリターンして、再びのハイタッチをして会場を後にしました。



というわけで、ピンポンさんの歌に聴き入る夜となりました。
開演前は「ピンポパンズ?」なんて間違って覚えてたりする失礼極まりない人間のわたしですが、
その歌声に耳を澄まして、CDを購入していました。
なんていうのだろう…
ピンポンズさんから発せられる言葉とギターの音色とハーモニカの音に包まれていると
なんともいえない気持ちが自分の中に浮かんできて、目頭が熱くなってきました。
言葉が直球で刺さってきました。

又吉さんは「オレンジ色の照明がとても似合う」と話されていましたが、
わたしはスポットライトがとても似合う方だなと思いました。
あの白い光の中に佇む姿が、素晴らしくしっくりきて、
より一層あの世界を強く感じることができるように思えました。
ギターを持つと、凛とした佇まいとなって、一本気のある強さすら感じるというか。
ガリーをきちんと読み返したら、ギターを手にしたきっかけがゆずと書いてあって、
無性に嬉しくなったという報告です。
それにしても、ハイタッチしがいのあるすーなかの手の大きさと張り!


『実験の夜』というライブだからこその、時間だったように思います。
こんな夜もいいですね。


又吉さん、向井さん、そして世田谷ピンポンズさん。
すーなか・村上さん・児玉さんも。
素敵な夜をありがとうございました。
又吉さんのお陰でまた聴くたびに思い出せる情景が増えました。

世田谷ピンポンズ3rdALBUM
『紅い花』
2014年8月6日発売
全11曲入り。
\2000(tax in)

*1:又吉さんも参加していた有料のメルマガ・2014年2月14日配信号の第十九回で対談が実現。マガリーは2014年3月にて終了。