ダイヤモンドじゃない。

※ネタバレ含まれます。

観てきました。



「箱入り」というと、大切に大切に育てられた人を思い浮かべますが
この作品の「箱入り息子」にはそんな意味と、もうひとつの意味があるような気がしました。
主人公である健太郎を見ていると、誰とも接しないことで、自分で自分を守るというか…
そういう意味での、自分で自分の世界を囲ってしまっている、
自分という箱の中に入ってしまっているという意味での「箱入り」とも受け止められました。


わたしもその節があり、気持ちはとてもよく分かるのですが、客観的に見るとやはり異様に見えてきました。
確かに傷つかなくてすむけれど、その生活が楽しいかと言われるとそうではない。
それが、健太郎の表情にもよく出ていました。
健太郎を見ていると、感情が無に近く、ただただロボットのように一日の決まったレールの上を走るように過ごしていく。
けれど、自分を否定されたことで初めて感情が爆発していく様は、見ていて気持ちがいいくらいでした。
傷つくことにも意味がある。そう思えました。


この作品は、たぶん見ているみんなで、あまりのまっすぐさニヤニヤが止まらなかったり、
気はずかすくなったりしながら、一緒に健太郎を見守っていきます。
そのせいか今回、映画館の一体感を特に感じながら観ていました。
一緒に笑ったり、ぐっと見いったりする空気を感じていると、
みんなおんなじように気持ちが振れているようで、すごくいいなぁと思っていました。
だから、やはり映画は映画館で観るべきだなと思わされました。
果たして、健太郎はどう変わっていくのか。ぜひ劇場で感じてほしいと思います。


源ちゃんは、あの細さもか弱い感じも不器用さもうまく役に投影されていて、応援したくなる健太郎がそこにいました。
夏帆ちゃんの透明感たるや、あまりにも眩しくて…
話し方といい仕草といい、他の人は考えられないほどのみすみずしさを放っていました。


健太郎のまっすぐさに、自分の歪み加減を恥ながらも、
あれだけ必死になって感情を剥き出しにして向かっていく姿を見てしまうと、わたしも頑張ろうと思えてきます。
そして、そんなにも変わることができる「誰かを好きになるという気持ち」の大切さを感じました。
「好き」って気持ちは、なんなんでしょうねぇ尊くて、恥ずかしくて。


何より、源ちゃんが戻ってきてくれて嬉しい。
今更ですが、おかえりなさい。