あなたのせいじゃない。

はじめて、よしもとばななさんの本を手にしました。

わたしの情報源のひとつが『王様のブランチ』です。
偏った情報ばかりを吸収しようとするわたしは、この番組で今を知ります。
こないだの土曜日にこの本が取り上げられていて、ご本人がインタビューに答えていました。


この本を書いた理由を聞かれ、
「自分のせいじゃないよ。」ということを伝えたかったと話していました。
厳しい時代を生きる20代30代の女性に自分のせいじゃなく、その外に理由があると。
自分のせいじゃないと思ったら、だいぶ違う。
だから「あなたたちのせいじゃないんだよ。」と言ってあげたかった。


この言葉を聞いて、テレビに映るその姿をただただ見つめていました。
まさしく自分自身が言って欲しかった言葉は、これかもしれないと。
そして、そう思ってくれるこの人が書いた本を読みたい!という衝動に駆られ
気付くと本屋さんでこの本を手に取っていました。




5つの物語からなっていて、すべてに共通して出てくるのが「さき」という名の女の子。
年齢も性格も生活も全く違う「さきちゃん」。
その「さきちゃん」たちが、自分も同じように抱えている、
もやもやだとか誰かへの眩しさや他人と違うと思ってしまう不安や
自分の中や他の人の中に見えてしまう鈍感さ・ズルさに、
傷ついたりホッとしたりしている姿を読んでいると、安心してきます。


つらなっていく言葉が心地よく、ゆったりと読み進めていくと、
そういう自分もいて大丈夫だと言ってもらえているような気がしてきます。
さきちゃん」のように、みんな見えない何かを抱えて生きていて、
それでも自分なりに幸せだと思えていることが生きているということなんだと。
読み終えたとき、自分を肯定してもらえているような、
そんな柔らかい気持ちがそっと包み込んでくれていました。