夢。

年末なので、下書きで温められていたものをあげます。




『芸人交換日記』を観ました。
でも、一週間レンタルしたのに一度しか観れませんでした。
時間はありました。でも、観れなかった。
あの作品を受け止められる気持ちが一度分しかありませんでした。
一度でもう…溢れる気持ちを処理しきれず。
観終わった後、いろんな感情を出しきって、空っぽでした。
ネタバレしております。


















あれだけススリ泣く声が聞こえる舞台はないでしょう。
ズルいよ、おさむさん。
成功ではなく、もがきまくる今ともがきまくったその先を描いた作品。
大体、成功なんてあるのだろうかとも思いました。


あれは若林さんじゃなければできない。
圭くんもそうだけど、若林さんだ。
「お笑い芸人」という仕事を選んだ人にしか伝えられない部分があると思います。


交換日記という形式を使って、1対1の人間のぶつかりあい。
それが舞台にもとても活かされていたと思います。
感情に起伏がある甲本と違って、田中はある一定の温度で舞台に居続けます。
甲本を励まし、イエローハーツで漫才することにこだわる。
でも、終盤一気に田中の感情が溢れだす場面の若林さんの凄み。
わたしがテレビで見ていたオードリー若林ってなんだったの…
あんなに感情を露わにしてぶつけてくる姿に、
わたしの感情もぐちゃぐちゃにされました。
正直、何の感情で泣いてるんだか分からないんです。
悲しいのか感動してるのか、共感してるのか、
それとも怒りなのか圧倒されてるのか。
でも、こぼれおちる涙が止まりませんでした。



日記なので、その時のどうこうが手に取るように伝わってきます。
出逢って、夢を見て、進んで、
褒め合って、嘘をつき、かっこつけ、腹を立て、見栄を張り、
笑って、泣いて、また二人で笑いたい…
芸人さんじゃなくても、
きっと誰もがどこかしらで味わったことのある感情をあれだけの熱量で見せられたら、
どんな人の心にも届くのだと思います。
普段蓋をして、人には見せまいとしている部分を形ある「言葉」として投げかけられる。
受け止める側は、一緒になってその時間と気持ちを共有する。
この作品を劇場で観れなかったことは、とても悔やまれます。


やる方も観る方もとても神経をすり減らす舞台だろうなと思いました。
あんな風に舞台に立たれたら、観る方だって、必死だ。
必死でくらいつきました。


「相方」という誰よりも時間を一緒に過ごし楽しい時もしんどい時も横にいる。
うっとおしくても横にいる。
家族でもなく友達でもなく「相方」としかいいようのない不思議な存在。
ノブコブや南キャンの話を思い出し、
コンビの間には嫉妬や怒りを越えての尊敬や感謝があって今があるんだなと。
何よりも「感謝」は大きいのかなとこの作品を観て思いました。


諦めたからこそ手に入るかけがえのないものだってある。
諦めなかったからこそ見える景色もある。
どっちも変えがたい大切なもの。
わたしには、そんなものがあるのだろうか。



売れることは素晴らしいことだと思っていました。
だって、劇場に立っているよりも生活は豊かになるし、齷齪しなくていいものだと。
誰もがそこを目指しているキラキラ輝く場所。
決してそこはゴールなんかじゃなくスタートでもなく、さんまさんのいうように戦場です。
一瞬でスターにもなれるし、一瞬で失うものもある。
ある言葉を聞いて、つきつけられました。
そこを闘い抜き続けることのしんどさなんて微塵も見せない
芸人さんの凄さを感じました。
それは、きっと芸人さんだけでなく、人前に立つ人みんな。


この作品に何度も出てくる言葉。

やろうと思う人は一杯いて、それを実行に移す人はほんの一握り。
『やろうと思ってた』と『やる』の間には実は大きな川が流れてる。

この言葉が痛いほど、身に沁みます。







わたしは、これをピースで見てどう思うんだろう。
ピースはどう思って言葉にするんだろう。
今から心臓が震えます。