その瞬間、瞬間を。

『SWITCHインタビュー 達人達(たち)綾野剛×又吉直樹
http://www.nhk.or.jp/switch-int-blog/100/186791.html
自分の知りたかった答えを知れたという収穫も大きかったですが、
それ以上に面白い対談でしたので、少しだけ感想を。



わたしは以前から又吉さんがどうしてそんなに劇場に拘ってくれるのか知りたくて、
その答えがこの番組にありました。

自分では思い描いてなかった仕事ばっかりしていると、
自分が何なんやろうって分からなくなる時があるんで…
ライブとかエッセイとかずっと昔からやってきたことを辞めずに続けていると
そんな大きな迷子にはならない。
ちゃんと帰る場所があるから。
命綱あるから思いっきり飛んでみようかなって思える時がある。

「帰る場所」「命綱」
そんな風に表現されている場所に居合わせていることができるんだということが幸せでもあり、
やっぱり舞台に立ち続けているということに意味を感じることができてしまったので、
かましくも客席に座っていたいなと思ってしまいました。


そして、綾野さんを通して見た『実験の夜』というライブが
「観ているこっちが置いてかれないように必死」という言葉で表されていて、
あのライブ独特の雰囲気が上手く言葉になっている!と。
そして、又吉さんを言い表すのも、そういう風に表現するのかぁと
何だかわくわくしてその言葉を聴いていました。



「順番つけるのあんま良くないですけど…」
「変な意味でもいいですよ。」
「迎えに参りました。」
「せっかく質問頂いたのに、ひっくり返すみたいで申し訳ないと思うんですけど…」
と綾野さんから出てくる言葉が、すごく紳士というか…なんていうのだろう…
又吉さんにきちんと向き合っている上にお茶目でというその人柄に見ているうちに惹かれていました。
それにしても綾野さんの「ちょっとトボけたかわいいメガネ男子」の破壊力ったら、ありません。
先日の『あさイチ』でのトークでも考え方などを聞いていて、面白いなと思ったのですが、
今回も、時たま出てくる言葉が刺さってきたりもして、
これを見たらますますわたしもめっちゃ興味出てきてしまいました。



中村文則さんの小説だったり、「努力を努力と思わない」「努力=近道」という考え方など
お二人に共通する部分も多く、お互いに尊重しあっているんだなぁということ強く感じました。
声のトーンも波長もきっと共鳴しあっているんだと見ていて思うばかり。


後半、綾野さんのお話を又吉さんが聞いているバーの場面で、
綾野さんのお話を聞いている又吉さんの表情が見たことなかった気がして、新鮮でした。
そういう考えがあるのかと感心しているような表情に勝手に読み取れて、
きっとお話しているのも楽しいんだろうなぁなんて思いながら見ていました。
今回、本人が話しているところを番組でじっくり見て、
今まで綾野さんを気難しそうという印象を持ってしまっていたのですが、
気難しいは繊細という言葉に変化し、何より愛情が深い人なのかなぁと。
あと、言葉ってものをとても大切にしている人なんじゃないかと思いました。


最近、お茶という言葉を思い浮かべると「おちゃ〜!」という
実験でのイントネーションになってしまい一人で笑ってしまって困っていますが…
「200年くらい生きないとやりたいこと全部できない」
という又吉さんのその一瞬でも観れたらいいなという欲深さと
役の瞬間だけ生きているという綾野さんのお芝居をもっとちゃんと見てみたいという欲まで出てきてしまいましたが
わたしも瞬間瞬間を大切に過ごしていきたいと思えました。


この対談もこれから本になるラインナップに入っていたりするのかしら…
http://www.nhk.or.jp/switch-int-blog/100/185627.html
素敵な番組に感謝。
『実験の夜』はほかのライブに比べるとそのタイトル通り実験的なライブかもですが、
他では見れない面白さもあるので…よろしければ。

『実験の夜』5/30(金)21:30開場/21:45開演(約一時間くらい)
渋谷無限大ホール●http://www.yoshimoto.co.jp/mugendai/
チケットよしもと●http://yoshimoto.funity.jp/
(立ち見は、それなりに見下ろす形になりますが、見やすいと思います。
 地べたに座って見ている方もいるので、座ろうと思えば座れます。)
6月は『太宰ナイト』のためお休み