デストピア。


10年近く前でしょうか。
友だちにビデオで借りたこの作品を見て、本当に圧倒されました。
気付くと外も真っ暗で
部屋の中も真っ暗で
画面も真っ暗で
言葉にすることも出来ずそのままソファで固まってしまいました。


その時から、どうしても…この目で、生の舞台を観たかったんです。


こんなこと言ったら語弊があるかもしれませんが、
わたしは演劇は理解できなくてもいいと思っています。
頭で分からなくても、何かを感じることができればいいと。



めくるめく舞台の中で
フクスケの台詞と
ふいに現れた絵に描いたような幸せと
あのラスト。
観ていて気付くと泣いていました。


この作品に出てくる人はみな何かを抱えています。
奇形児で産まれたこと、躁鬱であること、盲目であること…
けど、生きていれば誰しも何かしら抱えているので
それが目に見えるか見えないかの違いだと思います。
そして、こう言うんです。「わたしはやっぱり幸せだと思う」って。
あれだけの他人から見たら悲劇の中で
いろんな人の欲望の中で
生きている意味なんか見つからなくても
生きていくことには意味があると思えました。
未来に絶望する必要なんてない。

「あんたが死んでから先が、未来なんだから。」

「世の中には死ななければならないことなんてない。
 その代わり、生きなければならないこともない。」

「世の中な、たいがいのことは大丈夫なんだよ。」


観れたことに感謝。