いてよし。

優しい物語を観たいと思って、ふと思い浮かんだのは『すいか』でした。
毎年、夏になると恋しくなるドラマです。


土曜9時という枠にも関わらず、三茶の下宿に暮らす4人の女性たちの共同生活を描いた物語でした。
何も考えずに見ていたのに、気付けばシナリオ本まで買ってしまうほどのめり込んで見ていました。


わたしは、主人公の基子の煮詰まった雰囲気に共感を覚え、
しかも、演じているのが聡美さんだったりするもんだから、共感と一緒に憧れも入り混じったり。
そう言いつつも、絆の壊れてしまいそうで、こんがらがっちゃう繊細さにも共感したり。
のんびりとした空気が流れる中で、「生活している」という言葉がぴったりのドラマでした。


以前も縁についての台詞を引用したことがあったのですが、
『すいか』には、気持ちが楽になるような言葉が詰まっていて
たまにその台詞を読みたくなって、シナリオ本を辞書みたいに探しています。
ふと気持ちが楽になる、穏やかな気持ちになれる作品でした。


人に嫌われてもいいんです。
矛盾してる自分を、許してあげなきゃダメです。

そんな温かい台詞を書かれた木皿さんの
小説『昨夜のカレー、明日のパン』もエッセイ集『木皿食堂』も読みました。
どちらも読んでよかったと思える本ですが、今回はエッセイのお話を。


エッセイ集は盛りだくさんの内容で、どこもかしこも忘れたくない言葉でした。
木皿さんの作品は、甘ちょろいとか理想主義だとか言われるという話が出てきますが、
わたしはその世界に救われてきました。
以前、糸井さんが「自己肯定力」が必要だというお話を、ほぼ日でしていて、なるほどと思ったのですが、
木皿さんの作品が好きという人は、この自己肯定が出来ていない人なんじゃないかと話されていました。
だから、主人公がそう人ばっかりになると。
誰かに「助けて」が言えない。ダメでも「大丈夫です。」と言ってしまう。
そんな人たちに「いてよし。」と言ってあげられる作品をつくりたいと話されています。
自分の周りの世界、自分を好きになることは大事とも。
これは、わたしのここ数年のテーマだったりします。


あとがきのラスト一行。また、ぎゅっとしてしまいました。
最後の最後まで、やられました。