みんな又吉さんの味方。

もう5回目です。


又吉直樹ライブ
『実験の夜 Vol.5』


毎回実験的なライブを行ってる今回は演技力を鍛える夜に…と話していると、
遅れて入って来るお客さんの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
いらっしゃたお客さんに「こんばんわ。」
また話していると再びとても楽しそうな笑い声が聞こえ
又吉さんはきっと階段に一番面白いことがあるんでしょうと推測する。



今回のMCはしずる村上さん。
沖縄国際映画祭でも賞を取った
『タバコイ〜タバコで始まる恋物語〜』の主演俳優ではあるが、
演技なんてできませんけどいいですかと言ってから
納得してもらった上で撮影に望んだが
一言目の台詞を言ったら監督とプロデューサーがやってきて
「どうした?」と周りに集まってしまったくらい演技が苦手。


村上さんもこの映画のポスターを見て
あまりの不自然さに「妖怪タバコ吸い」かと思ってしまった。


そんな演技が苦手な人の相方である綾部さんは綾部さんで
ハリウッドを目指しているためか過剰な演技をする。
以前、神保町でお芝居をしていた時に又吉さんが一人で台詞を言うシーンなのに
何故かお客さんの視線が横の綾部さんにいっていたことが気になり
ある日チラッと綾部さんを見たら過剰に頷いたり表情をつくったりしていた。


又吉さんはKOCでもやっていた山姥やバケモノなど
バケモノ系はお得意だが、普通の演技ができない。


そこで、又吉さんの演技力がいかほどなものか…
村上さんから試されます。
場所は、バー?かラーメン屋だったか…
村上さん「オレ東京行くんだ…」
それをカウンターを拭きながら聞いていた又吉さん。
振り返りあまりにも不自然な「!!??」という表情。
これではあまりにも…ということで練習のスタートです。


●表情を鍛えよう
出されたお題に合った表情をつくるというもの。
「あの子今日もかわいいなぁ…つきあいたいな」
「あ!あそこのローソンつぶれてる」
「自分の息子がかけっこで一位になった」
「あの子今日もかわいいなぁつきあいたいなぁでも自分気持ち悪いからなぁ…」


何故か表情を作ってと言われると又吉さんは静止画になってしまう。
村上さんに動いてもいいんですよと。
最初のあの子と付き合いたいではストーカーのような笑みを浮かべていましたが
徐々に成長を見せ、最後のあの子と付き合いたいでは
憂いを含んだ爽やかな表情を浮かべることに成功。


続いては、村上さんが押した音楽に合わせて表情をつくります。
小田和正『言葉にできない』『ラブストーリーは突然に
大塚 愛『さくらんぼ』
崖の上のポニョ』『古畑任三郎のテーマ』
お経 などに合わせて表情をつくる。
又吉さんは何故か音楽が流れ出すと、ポッケに手をつっこみ
片方のほっぺにキャンディーを入れたみたいな表情になってしまうよう。
そんな中、ここでも徐々に成長を見せる又吉さん。
ポニョでは笑顔で行進し、
古畑では見事にお馴染みのポーズをすることができた。
お経では客席を鋭い視線で左右に見渡す。
後で聞くと、死んだ人目線だったよう。


続いては、音楽に合わせて今度は表情だけでなく
思いついた台詞を言ってみようということに。
『スタンドバイミー』→「みんな死んじゃった♪」
客席からは流石!又吉さん!といったような拍手が起こるが
村上さんからはアウト!が。
お客さんは又吉さんを甘やかしすぎですと注意を受ける。
これは、大喜利ではない。面白くしなくていいんですと。


ラブストーリーは突然に』→「やっと見つけた!」
先ほどの反省を大いに活かしての回答に村上さんからもお褒めの言葉が。
この言葉の前にも何個も色んな台詞を思いついたが
これじゃないこれでもないとかき消して辿り着いた。
村上さんは、又吉さんの深い心の闇を森に例え
その森をかき分けてかき分けてその先にあるものが今回の答えですと。



さくらんぼ』→「うち………あんたの作業着洗うの嫌いじゃなかったで」
それを聞いた村上さんにストレートに
「うち、あんたのことめっちゃ好きやねん」で良かったのにと言われる。
この曲を聞いて自然に「うち」という言葉が出てきたという又吉さんに
うちの後の沈黙で作業着落ちてきちゃったでしょと
又吉さんの中の天使と悪魔が葛藤しているのが見えましたと言われてしまう。


●個性的なキャラを演じよう
南アルプスの天然水の6本入りの段ボールを
4つ組み合わせてつくったボックスが登場。
しかも台となっている下のひとつのボックスと
上の3つのボックスは敢えての斜めにくっつけられているよう。
村上さん曰く、きっとスタッフさんが又吉さんは普通に作ってもダメだからと
こうしてくれたんじゃないかと。
それを聞いた又吉さんは
(自分がスタッフさんに)気遣わせてしまってるんやなと…


このボックス「性格」「癖」「裏設定」の3つからできており、
又吉さんはそれぞれのボックスから引き当てた設定で
演技をしなくてはならない。
そこで一人ではできないのでとお手伝いをしてくれるゲストの皆さんの登場。
ロシアンモンキー中須さんこと改名してすーなかさん、
グランジ五明さん、しずる池田さん、ジューシーズ児玉さんの皆さん。


僕たち演技上手いですからと自信気なすーなかさん。
設定をひく又吉さんの背中をちょっとだけ押す児玉さん。
4年先輩をおちょくる後輩でお友だちの児玉さん。
それに笑ってへらへらする4年先輩の又吉さん。


○設定その壱
性格「感情を表に出さない」癖「薄目」裏設定「空手二段」
場所はコンビニの前。
又吉さんはコンビニに買い物に来るお客さん。
後輩の皆さんはそのコンビニ前にたむろする若者。
ちなみに五明さんがリーダー。
五明さんに中須さんがどつかれたりしながら
わちゃわちゃしているとこに又吉さん登場。
そーっとコンビニに入ろうとするも絡んでくる若者たちを薄目で流していたら
リーダーからの号令「ふくろだたきにしようぜ!」
絡まれた結果、空手二段の腕前で五明さんたちを退散。
「また汚い瓦を割ってしまった…」との台詞を残し静かに舞台から去ろうとする。


これを見ていた村上さんにコントじゃないんですよと。
一列になって逃げていく様などコントだと。
又吉さんが舞台から去ろうとする後ろ姿がおじいちゃんにしか見えない。


○設定その弐
性格「ナルシスト」癖「同じことをニ度言う」裏設定「昨日財布なくした」
場所は居酒屋での同窓会。
またしても五明さんに中須さんがどつかれてのスタート。
遅れてやってくる又吉さん。
「オレです」×2、「俺は世界を変えられると思ってる」×2
など早々にナルシストぶりを大いに発揮。
「世界を〜」の台詞によって飲み会の空気を見事に白けさせ、
お会計しといたからと言って去ろうとするが本当かと疑われ、
財布を探されていまい、財布がないのが発覚。
払ってないじゃないかと揉め出すと、
例の「ふくろだたきにしようぜ!」の号令発令。
またしても薄目の空手二段が再び登場し、
「汚い瓦を割ってしまった…」と言い残し舞台をそ〜っと去る。



○設定その参
今度はみんな設定をひいてみようと。
それぞれひいた設定を首から下げる札に記入。
又吉/普通の奴・貧乏ゆすり・便秘気味
すーなか/短気・流行語を作ろうとする・足が臭い
五明/すぐテンションあがる・周りを気にする・あばら二本折っている
池田/目障り・奇声・三つ子
児玉/すぐ否定する・舌打ち・猫をたくさん飼っている
場所はサッカー部の部室。
普通と言っても又吉さんの普通じゃないですからねと村上さんに念を押される。


「静かにしようよ〜」を流行らせようとする中須さん
嬉しそうに奇声を発する池田さん、
言われたことにすぐ否定してすねる児玉さん、
見事にあばらを活かす五明さん、
地味に貧乏ゆすりをして普通さに徹する又吉さんと
みんなで演技をする中、なかなか思うように進まなかったのか
みんなからの「ふくろだたき」欲しさを察し取ってしまった五明さん。
結果「ふくろだたき」号令が発せられ
薄目の空手二段が登場し、再び例の決め台詞を言い残す。



時間があまりないのでといいながら始まったのが
●ミニコントをつくろう
これが一番実験だとか。
コントを作るのではなく楽屋でのコミュニケーションで
芸人さんがよくやるミニコントを舞台上でやろうというもの。
なぜなら、又吉さんは幾度となくその場面を楽屋の端っこで見ていただけだった。
これからは参加していこうということで、無限大の楽屋にあった
私物の鞄がのっかったままの机やいすが舞台上に運び出され楽屋を再現。
ここは「ファクター」と言う言葉を突然使いだしてみんなを驚かせた
自然とナルシストキャラのMC村上さんも参加。
コンビで横には座らないというところまで細かく再現。


みんなでワイワイしているところに又吉さんがやってくる。
中須さんからの目を閉じたまま眠るという流れがスタート。
順調に目を開けたまま寝る皆さん。
ところが、又吉さんスルー。
続いて中須さんの帽子を被るとジュリーになるというコントがスタートし
又吉さんも帽子を被るものの照れが取れない。


なんでミニコントに参加しないのかと聞かれた又吉さんは
「耳を疑うかもしれませんが、恥ずかしい…」と。
このままではダメだと話の流れからトイレに行くというミニコントスタート。
右手を上下に挙げて行進してみんなでトイレに。
又吉さんも照れながら最後に参加することに成功。


しかし、今出来たからと言って又吉さん発でやらないでくださいと注意される。
又吉さんが急に手を上下に挙げてトイレ行き出したら
忙しくて疲れてると思われちゃう。
誰かがやったのに続く形から入ってくださいと。


照れながらも何とか成功した又吉さんに村上さんが
これだけの人数が居ればどのライブにも
ここに来てくれた方の誰かしら一人はいる。
ということは、又吉さんの味方が必ずいるということなので大丈夫ですと。
心配しないでやってくださいと。


このライブを通してハートが少し強くなったような又吉さん。
来月は『実験の夜』はお休みで6/19に恒例の『太宰ナイト』を開催。
いつもは太宰に焦点をあてて行っていたが
今回は笑いの中に太宰をと考えているようです。
そして『太宰ナイト』は60分ではなく90分だそう。
次回の『実験の夜』は7/10(火)。
今回の実験をやってみて、
一時間枠をもらってるんで一時間ずっと芝居でもいいなぁと。
アドリブ芝居とかやってみたいですねと言っていたので
そんな回があるかもしれません。


僕が楽しくても仕方ないかもしれませんが…と言いつつ楽しかったよう。
今回も「締め方が分からないんですよ。」と笑う又吉さん。
それも恥ずかしさがあるからですよと言われる。
中須さんは恥ずかしさなど気にせず大きな声で思いついたことを言うのが
面白いにつながるんですみたいな名言を残していました。


そこで村上さんから今日のライブを活かして
流れてきた音楽に合わせて締めて下さいと提案される。
「みんなもここにおって」と言うが
「それじゃ又吉さんが引き立たないから」と
「ありがとうございました〜」と舞台からさがる後輩の皆さん。


又吉さん一人、舞台に。
そして聞こえてきた音楽は『北の国からのテーマ』。
この音楽にのせて又吉さんは
「みなさんのお陰でライブが出来ています。
 またお会いできるのを楽しみにしています。(途中噛む)
 ありがとうございました。」
とおじぎをして舞台を去っていきました。


んぐー!
最後の「みなさんのお陰でライブが出来ています。」だなんて…
こんな素敵な言葉を聞いてしまったら、もう…有難すぎる。
ありがとうございます。
ほんと又吉さんが楽しいのが何よりです。
倉持さんも言ってたじゃないですか。楽しい姿を見せることが大事だって。
それが今回も充分に客席に伝わってきたライブでした。
カメラが入っていたので配信があるのでしょうか。


自分の弱点をきちんと克服していこうとする姿を見届けて
これでまた又吉さんに深みが出てくるんだろうなと思うと楽しみです。
それにしても村上さんシュッとしたなぁ。
照れながらも新たな一面も見れた気がする楽しそうな又吉さんの姿に
村上さんの的確でズバッとしたMC、
中須さんのつやつやほっぺの笑顔から繰り出される言葉の数々
先輩でもあり友だちとしても慕っている後輩の皆さんの姿に
もうにやにやとへらへらが止まりませんでした。


又吉さんみなさん、今回も楽しい時間をありがとうございました。


そして、ここまで読んで下さりありがとうございます。
大変…大まかではありますが、ちょっとでも空気が伝われば幸いです。